老人笑うな行く道
認知症の進んだ90歳になる母はとてもおしゃべりだ。しかも活舌が良い。ただし内容は脈絡が無く理解不能だが。
悩んだり、不安になったり、怒ったりと短時間で感情もコロコロ変わっていく。
反論すると機嫌が悪くなったり、不安になるようなので、肯定する返事をしたり、褒めたりしながら相づちをうつ。
先日、病院の待合室で、そんな私たちの意味不明な会話を近くにいた親子がクスクスと笑って聞いていた。
女児が笑うのは仕方ないにしても、母親が一緒になって笑うのはどうだろう?
そんな母親に育てられた子どもは、どんな大人になるのだろうか。
自分の行く道の先にある事実を、考え学ぶチャンスを与えてもらっているのだ。
笑うのではなく、黙ってしっかりと見ておきなさい!・・・と、心の中で言う。
90年を生きてきて、支えがなければ歩行が困難になり、食事も介助が必要な姿を、元気な頃の母が見たら何と言っただろうと考える。
きっと・・・だろうなぁ。
わかるよ、私もそう思うから。